昼休みになっても、駿佑は万千湖の名前が呼べないことについて、ずっと悩んでいた。
このままでは仕事に支障をきたしてしまうな、と雁夜と来ていたリラクゼーションルームで思ったとき、
「なに見てんのー?」
とやってきた綿貫が駿佑の手許にある書類を覗き込んだ。
「車の保険だ。
ちょうど更新時期なんだ。
ほっといたら、自動更新なんだが。
今日、ちょうど保険会社の人が来るんで――」
「ああ、そ……」
そうなんだー、と言いながら綿貫が珈琲をとりに行こうとしたとき、書類を見つめたまま駿佑が言った。
「だから、白雪にプロポーズしようかと思って悩んでたんだが」
何故っ!?
という顔で綿貫と雁夜が見たようだった。



