OL 万千湖さんのささやかなる野望

「あの、やたら激突してきたり、お辞儀してくる鳥、ジョウビタキって言うんだそうだ」

「そうなんですか」

 駿佑は窓の外を見て、
「……ジョウビタキ」
と呟く。

 いや、今、いませんけどね、と思ったとき、駿佑がこちらを見た。

 黙っている。

 今度は、万千湖の後ろを見て言った。

「カチョウ」

 万千湖は振り返る。

 小さな暖炉の上にペンギンのカチョウがのっていた。

 ……火がついたら、焼き鳥になりそうだ、と思う万千湖を駿佑がまた見た。

 駿佑は沈黙している。