OL 万千湖さんのささやかなる野望

 さっさと片付け始めた駿佑が顔を上げて言う。

「そうだ。
 節約のためにも、ご飯は交代で作ろうって話になったが。

 それ以外は自分の時間を大事にすることにして。

 みだりにそれぞれの部屋には入らないようにしよう」

「あ、そ、そうですね」

 改めて言われると、ちょっと寂しいが。

 まあ、そもそも、課長の部屋のドアをいきなり開ける度胸なんてないしな、と思ったとき、駿佑が言った。

「じゃあ、俺は自分の家に戻るが。

 ……絶対にこっちを覗くなよ」

 いやあなた、鶴かなにかですか……。

「おやすみ」
と自分の家のドアを開けた駿佑だったが、足を止め、振り返る。

「絶対にこっちを覗くなよ」

 これって押すな押すなだろうかな……とちょっと思ってしまった。

 いや、訪ねて行く度胸なんて、ほんとにないのだが……。