OL 万千湖さんのささやかなる野望

「僕、前の彼女がさー。
 全然そんな風に見えなかったのに、男性遍歴がすごくてさ。

 まあ、それは過去のことだからいいんだけど。
 いちいち、前の彼氏とか、前の前の彼氏とかと比べてくるんだよね。

 もうそういう女はこりごりでさ。
 その点、白雪さんなら、そういうのもなさそうだし」

 確かに男性遍歴なんてものはなさそうだ。

 だが、

「菊水、久保田、上善、何処かの酒屋が勧めてくれた謎の酒、獺祭、長陽福娘(ちょうようふくむすめ)の純米吟醸の方……」

「なにそれ?」

「昨日、聞かされた、あいつの酒遍歴の一部だ」

 ぷっ、と綿貫は笑う。

「やっぱり面白い人だね、白雪さん。
 まあ、女に興味のない駿佑が興味を持つくらいだもんね。

 でも、白雪さん、いい子だし。
 結構狙ってる奴、いると思うよ」

 いないと思うが、と思っているうちに、じゃあ、お互い頑張ろう、と爽やかに言って、綿貫は行ってしまった。