OL 万千湖さんのささやかなる野望




 よし、ここでさりげなく、白雪とは離れよう。

 駿佑は、
「じゃあ」
と部屋に戻ろうとした。

 だが、万千湖が、
「いや~、ついに引っ越しも終わりましたね。
 課長、私の部屋、見てみます?」
と笑顔で言ってくる。

 ちょっと迷ったが、この先、あまり入ることもないかもな、と思い、言った。

「そうだな。
 すぐに見ます? とかお前が言えるの、今だけだろうしな」

「……えーと。
 一週間くらいは綺麗なままだと思いますよ?」

 万千湖はそう苦笑いしながら、どうぞ~と万千湖の住まいの方の扉を開ける。

「ほう。
 いい感じじゃないか」

 落ち着いた調度品で整えられたリビングを眺め、駿佑は言ったが、よく考えたら、プロが揃えた物そのままなので当たり前だった。

 窓の外を見て、
「やはり、庭をどうにかしないと、ここからの眺めも殺風景すぎるな」
と呟いた駿佑は窓際に寄ろうとした。

 だが、ペキ、とスリッパの下で音がする。