OL 万千湖さんのささやかなる野望




 それぞれの家を案内したあと。
 外へ出て、みんなの車を見送る。

「急に静かになっちゃいましたね」

 ちょっと寂しげな万千湖のその呟きに、

 ……俺も静かになって欲しくなかったな、と駿佑は思っていた。

 なんで帰ってしまったんだ。
 純さん、比呂……。

 呼びかけてしまうのが、その二人なのは、他のメンツが残ると、結婚はどうなったんだとうるさいからだ。

 まだ道路の方を見ている万千湖が寒そうだったので、

「寒いな、入るな」
と言う。

「そうですね」
と中に入ろうとしたあとで、万千湖が、ん? という顔をした。

「今、入るなって言いました?」