OL 万千湖さんのささやかなる野望

 みんなが帰ってしまったら、俺と白雪の二人きり。

 ……怖いっ。

 今のこの気持ちのまま、二人きりになったら、なにか余計なことを言ったりやったりしてしまいそうだっ。

 万千湖の親族たちに自分の住まいを案内していた駿佑だったが。

「やだー、こっちも広いわねえ」
とどんどん見て行く浅海たちの最後尾にいた純と目が合う。

 困ったように苦笑いした純の腕をつかみ、思わず言っていた。

「帰らないでください」
「えっ?」

「……まだいいじゃないですか」

「えっ? でも、みんなもう帰るって言ってるし……」

「……あなただけでいいんです。
 ここから出ていかないでください」

 人が良さそうなこの男を白雪が好きになったら嫌だな、と思ったくせに。

 つい、その人の良さにすがってしまう。

 だが、純は何故か、ここに一人留まってくれと懇願する自分に怯え。
 今、ここにはいない万千湖に向かって叫び出す。

「万千湖、万千湖っ。
 助けてっ。

 俺、殺されるっ。

 万千湖~っ!」