OL 万千湖さんのささやかなる野望





 駿佑が、よし、終わった、戻るか、と書類をそろえ、パソコンを閉じて立ち上がろうとしたとき、コンコン、と誰かが小会議室のドアを叩いた。

 はい、と言うと、同期の綿貫(わたぬき)が顔を出した。

 万千湖と同じ、総務の男だ。

「手伝おうか、課長」
と笑って言う。

 手伝おうか、課長、という言い方もおかしいが。

 部署も違うし、同期なので、綿貫は普段は自分を駿佑と呼ぶ。

 ちょっとふざけて課長と呼んでみただけなのだろう。

「いや、いい。
 っていうか、お前、部署違うだろうが。

 なにか用なのか?」

 そう訊いてみると、綿貫は案の定、いやちょっと訊きたいことがあって、と言う。

「お前、昨日、白雪さんと駅で食事してなかった?」