OL 万千湖さんのささやかなる野望

「いや~、腐らないもので冷やしといた方がいいものって言うと、これくらいしか」
と万千湖は苦笑いする。

 文句を言いながらも、駿佑は一緒に酒を詰めてくれた。

「あ、課長、課長。
 最後にこの部屋で一緒に写真、撮りましょう」

 スマホをキッチンのカウンターに置いて、二人でタイマーで写真を撮る。

 日記とスケジュール帳と一緒に、スマホからすぐに焼ける小さなプリンターはまだ出してあったので、二枚焼いてみた。

 駿佑と自分の分だ。

 相変わらず無表情の駿佑と笑顔の自分。

 後ろには、引っ越してしまえば、もう二度と入ることはないだろう、この部屋が写っている。

 それを眺めながら万千湖は言った。

「アイドル辞めて、OLになって。
 いよいよ新生活だっ! って、この部屋に越してきたんですよね」

 今もあのときと同じに、また、ダンボールだらけでガランとしている。

 でも、駿佑がいた。

 あのときにはいなかった同居人が今はいる。