OL 万千湖さんのささやかなる野望


 

「いよいよ、引っ越しだが、お前の方は大丈夫か」

 金曜の夜、万千湖は駿佑にそう問われた。

 土曜が見学会。

 日曜が引っ越しだ。

 そういえば、もうあのマンションに課長をお招きすることもないのか、と思い。

 二人で回転寿司に行ったあと、万千湖は駿佑をマンションに招いてみた。

 二人で玄関の七福神を眺め、
「なんかちょっと寂しいですね。
 歩いていけるくらい近い回転寿司も古本屋も。

 ……もう来ることないかもしれないですもんね」
としんみりする。

 そうだ。
 この七福神様も詰めないと、と手に取ったとき、駿佑が言った。

「片付け、まだ終わってないなら手伝うぞ」

「ありがとうございます。
 だいたい、ダンボールに詰めたんですけどね」

 どうぞ、と万千湖は駿佑を中に通す。