金曜の夜、万千湖は指輪を見せに、また駿佑の実家に向かっていた。
車の中で万千湖は、なにか欲しいものはないか、駿佑に訊いてみた。
「ないな。
今、物増やしたくないし」
前を見たまま、駿佑はそう言ってくる。
いやまあ、確かにわかりますけどね。
引っ越しに向けて荷物を減らしている万千湖にもその気持ちはよくわかった。
それにしても、課長はともかく、私はまだ引っ越したばっかりだったのに。
何故、あんなにも荷物が増えているのだろうか。
100均グッズかな、と思ったとき、駿佑が言った。
「指輪のお礼なら、この間歌ってもらったろう。
あれで充分だ。
そんなことより、会社で指輪つけてろよ。
せっかく買ってやったのに。
この間も外してたろ」
……いや、いつの間にチェックしてるんですか、と思いながら、万千湖は言い訳をする。



