OL 万千湖さんのささやかなる野望




「今日は幸せでした。
 課長に海老の殻までむいてもらって」

 夜道を送ってもらいながら、ご機嫌な万千湖はそう言った。

「おごってもらってすみませんでした。
 今度は私がおごりますね」

 今度……と駿佑は口の中で呟いたあとで、言う。

「そうだな。
 もうちょっと会っておいた方がいいな、部長の手前」

「そうですねー。
 せっかく部長がご紹介くださったんですから」

「今日はそのことについて打ち合わせようと思ってたんだが。
 三回くらいは会った方がいいかと思って」

「三回。
 いいですね~」
と万千湖は笑う。

 万千湖の頭の中では、三回課長と会う。
 三回、今日みたいに楽しくお酒が呑める、にすりかわっていた。

「ところで、今日は打ち合わせだったんですよね。
 今日もその三回のうちの一回に入るんですか?」

 駿佑を見つめ、万千湖は訊いた。

 駿佑は一瞬黙ったあとで、
「……どっちでもいいが」
と言う。

「そうなんですかっ」
と万千湖は喜び、手を打った。

「じゃあ、今日のはカウントしないでくださいっ」

「……え?」