「みなさんが、今日のことは雁夜課長には黙っておいてと言って。
100均で一個買ってくださったんです」
「100円で買収されたのか」
「いや~、100円だと買収されづらいですけど。
100円というか、110円で買った、選びに選んだお弁当箱だと買収されちゃいますね~」
だが、駿佑は、
「あいつらは莫迦なのか。
お前を口止めしても、俺をしなきゃ意味ないだろうが……」
と言う。
万千湖は日本酒の並んだ棚を見ながら言った。
「そうですねえ。
増本さんたちに言っておきます。
課長も買収してあげてくださいと」
万千湖に嫌がらせをしてきたのは、システムの増本瑠美たちだった。
「いや、弁当箱はいらないぞ」
と駿佑が言ったとき、万千湖が声を上げた。
「あっ、五橋があるっ。
五橋を熱燗でっ」
だが、そのとき、目の前で焼かれていた、厚みがあるのに、やわらかそうな肉が香ばしい匂いと弾けるような音とともに出来上がってしまった。
海老やホタテはまだ焼けていない。
「しまったあああっ。
先にワインにすべきだった~っ」
頭を抱える万千湖の横で、駿佑が、
「……幸せな悩みだな」
と呟いていた。
100均で一個買ってくださったんです」
「100円で買収されたのか」
「いや~、100円だと買収されづらいですけど。
100円というか、110円で買った、選びに選んだお弁当箱だと買収されちゃいますね~」
だが、駿佑は、
「あいつらは莫迦なのか。
お前を口止めしても、俺をしなきゃ意味ないだろうが……」
と言う。
万千湖は日本酒の並んだ棚を見ながら言った。
「そうですねえ。
増本さんたちに言っておきます。
課長も買収してあげてくださいと」
万千湖に嫌がらせをしてきたのは、システムの増本瑠美たちだった。
「いや、弁当箱はいらないぞ」
と駿佑が言ったとき、万千湖が声を上げた。
「あっ、五橋があるっ。
五橋を熱燗でっ」
だが、そのとき、目の前で焼かれていた、厚みがあるのに、やわらかそうな肉が香ばしい匂いと弾けるような音とともに出来上がってしまった。
海老やホタテはまだ焼けていない。
「しまったあああっ。
先にワインにすべきだった~っ」
頭を抱える万千湖の横で、駿佑が、
「……幸せな悩みだな」
と呟いていた。



