OL 万千湖さんのささやかなる野望





 ぐっと喉に冷たい日本酒を二回流し込んで、ぷはーっとやったところで、万千湖は正気にかえった。

 ようやく駿佑の顔をまともに見て挨拶する。

「こんばんは、課長」

「……いや、今か」

「すみません。
 よく冷えた酒とニンニクの焦げた香りに正気を失っていたので」

 ちょっと意識が飛んでまして、と万千湖は謝った。

「昼間、揉めていたようだが、大丈夫か?」

「あっ、はいっ。
 ありがとうございました。

 課長のおかげで助かりました。
 危うく、お気に入りのお弁当箱を捨てられるところだったんですが。

 お弁当箱が一個増えて終わりました」

「何故、一個増える……?」