OL 万千湖さんのささやかなる野望

「えーと、例えば……

 例えば……」

 あれっ?
 改めて語ろうとすると、楽しいところしか思い浮かばないな。

「……そうですね。
 血の滲むような寒さを耐えたりとか」

「血の滲むような寒さっておかしくないか?」
と駿佑からツッコミが入る。

「寒さに耐えて、手を握りしめ、爪で血が滲むとか?」
と意外に想像力たくましい綿貫が言い、

「血が雪に滴り落ちて、パタッて倒れたりしたら、ちょっと純文学っぽい雰囲気が漂うね」
とさらに、想像力たくましい雁夜が言う。

 ……大丈夫ですか。
 雁夜さんの頭の中では、我々全員、大喀血とかしていませんか?

 集団中原中也ですか。

 ……いや、私の言い方が悪かったのだが。

 でも、本当に洒落にならないくらい冬のイベントとか寒かったんですよ、と万千湖は思い出す。