「なにかを頑張りたいの『なにか』がわからないって。
一応、ご当地アイドルとして、そこそこ成功した時点で、なにかを成し遂げてんじゃないの?」
みんなでお弁当を食べていた昼休み、瑠美がそう言ってきた。
「まあ、ご当地アイドルになってからは、それなり努力はしましたが。
はじまりがなんていうか。
人数足りないから出てっ、でしたから。
なし崩し的になってしまったので、頑張ってアイドルになりましたというのは、おこがましいような……」
「一応、努力はしたわけ?」
と安江が訊いてくる。
いつもいっしょにいるこの辺りのメンツに黙っているのも水臭いか、と思い、すべて打ち明けたのだ。
「はい。
それにまあ、いろいろ耐えては来ましたね」
あまりアイドル時代のことを語らない万千湖の苦労話にみんな身を乗り出して聞こうとした。



