OL 万千湖さんのささやかなる野望

 


「99.862……」

 歌い終わって一礼した駿佑の後ろの画面を見て、雁夜がその点数を読み上げる。

 なにっ? と駿佑が振り返り、点数を見た。

「満点じゃないのかっ」

「いや、どんな自信ですか……。
 でもまあ、確かに正確でびっくりしました」
と万千湖が言うと、

「そうだな。
 この曲、歌ったことはなかったんだが。

 このところ、ずっと聴いていたので、リズムが完璧に頭に刻み込まれていたようだ」
と駿佑は言う。

 いや、聴いてたんですか?
 何故……と不思議がる万千湖の前で、立ち上がった雁夜が駿佑の肩を叩いた。

「……お前の勝ちだな、駿佑」
「ありがとう、雁夜」

 そう礼を言いながらも駿佑は、
「だが、もう一回歌っていいか?
 満点でなかったのが気に入らない」
と言い出す。

「いいよ。
 僕ももう一回歌い直したい」

 二人は二度目の『涙のショコラティエ』を歌い出した。