OL 万千湖さんのささやかなる野望

 そのあと、給湯室でお弁当箱を洗っていた万千湖と一緒になったので、
「そういえば、結婚式はいつ?」
とお祝いを贈る関係もあるので訊いてみた。

 だが、万千湖は、
「えっ? なんのことですか?」
と言う。

 たまたま二人で訪れた住宅展示場でモデルハウスが当たって一緒に住むだけなのだと言う。

「ルームシェアみたいなもんですかね?」
と万千湖は照れたように笑った。

 ……どっちかっていうと、ハウスシェアでは。
 二世帯だし、と思ったとき、万千湖が微笑み、自分の手にあるペットボトルホルダーを見た。

「それ、ライブのときの限定グッズですよね?
 まだ持っててくださったんですか?

 嬉しいです」

 そう言いながら、万千湖は、ちょい、とペットボトルホルダーをつついてきた。

 過去を懐かしむかのような顔をして。

 少し前のめりになった万千湖の小さな頭が鼻先に来て、ふわりといい香りがする。

 ライブ会場で遠くから見つめていたときには、決して嗅げなかった香りだ。

「マチ……、

 白雪さん」