「地鎮祭をやるんだが」
突然、息子からそんな電話がかかってきた駿佑の母、美雪は、
いやいや。
その前にやることがあるだろう、と思っていた。
「あんた結婚式は?」
と訊いてみたが、
「……まあ、またおいおい」
と誤魔化されてしまう。
さっさと電話を切られ、不満に思っていた美雪だが、
はっ、まさかっ、とあることに思い当たる。
ああ見えて、マチカさん、アイドルだったから……
「……いや、あの、万千湖でお願いします。
それと、ああ見えて、ってなんでしょう……」
と万千湖に突っ込まれた気がしたが、そこはスルーして思う。
マチカさん、アイドルだったから。
結婚したとか知れたら、ファンの子にマチカさんが刺されるとかっ。
駿佑が刺されるとかっ、と母の妄想は突き進む。
実際にはマチカのファンは、
マチカちゃんに幸せになってねって言われたから、自分たちも幸せにならなければっ、と思うようなファンがほとんどだったのだが。
妄想が突っ走った母、美雪は、駿佑たちにとって、都合がいいのか悪いのか。
二人の安全のために、これ以上、結婚話には首を突っ込むまい、と思ってしまった。



