あのあと、駿佑から電話がかかってきて、万千湖は駿佑と駅ビルにある鉄板焼きの店で待ち合わせることになった。
駅ビルは最近リニューアルしたばかりらしく、新しい素敵な店がたくさんあった。
歩いていると、中華の匂いがしたり、イタリアンな匂いがしたり、ラーメンの匂いがしたりする。
何処も美味しそうだな。
ここ、歩いて来れるし。
いい街に住んだな。
また来よう、と万千湖は浮かれる。
先に着いてしまった万千湖は、店のカウンターに座り、メニューを見たり、カウンターの奥の壁に並ぶ色とりどりの日本酒の瓶を眺めたりした。
ふたつ離れた席のサラリーマンたちの前に升に入ったよく冷えたグラスが置かれる。
店員がそのサラリーマンと笑って話しながら、小瓶の日本酒を開栓し、注いでいた。
ヤバイ。
呑みたいっ。
早く来てくださいっ、課長っ、と恋ではなく、酒呑みたさに、駿佑の到着を待ち焦がれる。



