OL 万千湖さんのささやかなる野望




「いや~、ついに契約してしまいましたね。
 これから支払いがはじまるかと思うと、ドキドキしますね」

「ドキドキするの、そこか」

 駿佑たちは清水に見送られ、車でモデルハウスを後にする。

「何処か行きたいところはあるか?
 昼でも食べるか?」

「行きたいところ……」

 万千湖は、ぎゅっと膝に置いていた鞄を握りしめる。

「ありますっ」

 ……なんだその気合いの入りよう、と駿佑は思った。

「いよいよ、貯金全額はたいたうえに、借金生活がはじまるわけですが……」

 いや、すぐに返せないのなら、落ち着いてからでもいいんだが、と思っていたが、思い詰めた感じに語る万千湖がなんだかおかしかったので、そのまま眺めてしまった。