「課長、買ってくれようとしてたんですか?
うちにまだ何枚もあるのに、あのタオル」
車を降りながらそう言う万千湖に、
「別に欲しかったわけじゃない。
せっかくお前がサインしたのに簡単に売られてて可哀想だなと思ったから、買い取ってやらねばと思っただけだ」
と言うと、
「いや~、簡単にっていうか。
もう何年も持っててくれたんで。
特に私のファンというわけでもないのに。
ほんとありがたいですよ。
どっちかって言うと、サチカちゃんのファンだったみたいだから、サチカちゃんにサインもらってあげればよかったですかね?」
と万千湖は言う。
「……お前の名前入りのタオルにか。
っていうか、サヤカとか、サチカとか、サキカとか。
なんで似た名前ばっかりなんだ、紛らわしいぞ」
課長、サキカはいません……と万千湖に言われた。



