OL 万千湖さんのささやかなる野望

「その話はまた」
と駿佑は遮ったが、

「でも、みんなも予定ってものがあるんだから。
 早く言っとかなきゃ駄目でしょ。

 だいたい、何月くらいとか決まってないの?」
と母に詰め寄られている。

 駿佑は困っているようだった。

 駿佑は、ここで結婚するわけじゃないとか言ったら、また話がややこしくなるな、と悩んでいたのだが。

 駿佑の意図も、母の意図も、万千湖には伝わっていなかった。

「万千湖さん、なにかいい日とかある?」

 駿佑の母が微笑み訊いてくる。

「いい日ですか?」

 万千湖の頭に、10億円の文字と微笑む招き猫が印刷された、はためく赤い(のぼり)が浮かんだ。

「やっぱり、大安吉日とか」

「そうよねえ」