OL 万千湖さんのささやかなる野望

「いや、うちの辺、水道水も美味しいので、わざわざ買わないんですよね、ペットボトルの水。

 冷蔵庫開けたとき、よく冷えて白くなった、でっかい水のペットボトルがあると、なんか贅沢だなっていつも思うんです」

 駿佑は、なんだその話はという顔をしていたが、駿佑の家族たちは、

 この人、ほんとに庶民的だな……という顔をしていた。

「親戚の家に行ったとき、
 喉が渇いたって言ったら、

『その辺のダンボールに炭酸飲料とかジュースとかいっぱいあるから、好きなのとって氷入れて飲みなよ』

 って言われたときも、なんて贅沢なっ、て思いました。

 だって、コンビニにも自販機にも行かなくても、すぐそこにコーラとかあるんですよっ」

「わかった、わかった」
と駿佑が止める。

 万千湖の親はあまりその手のものを飲まないので、家には買い置きがなく。

 なにか飲みたいと思ったら、夜だろうが、歩いて近くの自動販売機かコンビニに行くしかなかったので。

 炭酸飲料やジュースが買いだめしてあるというのが新鮮だったのだ。

 だが、このしょうもない話は意外に駿佑の家族には受けた。