「駿佑、意外に器用だね」
ノリノリにアイドルの曲を歌っている瑠美の歌に合わせて、なにも楽しくなさそうにリズムを刻む駿佑を見て、綿貫は言う。
「集中してるんだ、黙れ」
と言う駿佑は、曲を聴いて楽しむ、というより、リズムゲームのようにテンポをはずさずにタンバリンを振ることに熱中しているようだった。
いや、それで楽しいのなら別にいいんですが……と万千湖は苦笑いしながら見守る。
「いろいろ与えてみようか」
と芸をする動物かなにかのように綿貫は言い、駿佑に、マラカスを与え、民族楽器のような小さな太鼓を与えてみていた。
が、駿佑は、なんでもこなす。
膝に抱えた民族楽器的太鼓を小器用に叩く姿を見て、おお、とみんながどよめいた。
「くそっ。
次々、芸を披露しやがってっ。
しかも、得意げでないところがなんかムカつく……っ。
仕事や勉強ならともかく、レジャー系は苦手かと思っていたのにっ」
そう言いながら、綿貫は太鼓を取り上げ、タンバリンと取り替えていた。
だが、駿佑は画面を見つめたまま、正確にリズムを刻んでいく。
「ちっとは動揺しろよっ」
「じゃあ、はい」
と悔しがる綿貫の横で雁夜がスマホから曲を割り込ませる。
本人出演の「太陽と海」の曲が流れた。
『商店街サバイバル』だ。



