OL 万千湖さんのささやかなる野望

「雁夜課長、競り落とさなくても。
 言ってくださったら、タオル実家にまだあったのに」

 やはりか……。

「今度、雁夜課長に、何枚か差し上げましょうか」

「やめとけ。
 使い倒されるぞ」

 そんな話をしながら、楽しく寿司を食べ、酒を呑む。

「カラオケ楽しみですね~」
と万千湖はご機嫌だ。

「なに歌おうかな~」

 自分の歌を歌えよ……。

「課長、歌とか歌うんですか?」

「……歌わない」

「じゃあ、カラオケ行って、なにやってるんですか?」

「なにかを振っている」

 なにかってなんですか、という顔を万千湖はした。

「マラカスとかタンバリンとか」

「課長が振るんですかっ?」

 いつも無表情で振っている。

 歌わされるよりマシだからだ。