OL 万千湖さんのささやかなる野望

「……歌は?」
と駿佑が訊く。

「太陽と海のメンバーはみんな歌上手いよ。
 ユカちゃんとか、今、ネットで歌っててすごいし。

 マチカちゃんもそこそこ上手いよ!」

 そこそこ上手い、とファンゆえの厳しさか、笑顔で雁夜が断定する。

 そこそこ……と万千湖が苦笑いしたとき、

「そうだ、みんなでカラオケ行きませんか?」
と瑠美が言い出した。

「万千湖の歌聴いてみたいし」

「ええっ?」

 反対してくれると思った駿佑まで、興味があるのか、ほう、という顔をする。

 いや、あなた聴いたことありますよ、私の歌……。

 ラジオから流れてきたではないですか。

 いや、駿佑はスマホで鼻歌も聴いていたのだが、そのことは万千湖は知らなかった。

「あっ、カラオケ行くの?
 いいなあ」
と近くを歩いていた綿貫が話に混ざってくる。

「綿貫さんもどうですか」
と瑠美が誘う。

 いいね、いいねー、と二人はすぐに話がまとまったようだった。

「大丈夫なのか?」

 綿貫が去ったあと、駿佑が不安そうに訊いてきた。