OL 万千湖さんのささやかなる野望

「雁夜がどうとか聞こえたが、そいつと雁夜は関係ないぞ。
 そいつは、俺の……」

 駿佑はそこで言葉につまった。

 なんと言ったらいいのかわからなかったようだ。

 そりゃそうだ。
 付き合いで見合いしたけど、どっちも乗り気でない、という関係にすぎないからだ。

 だが、そう素直に言ったら、じゃあ、関係ない人じゃないですか、となってしまうだろうし……。

「そいつは……

 そいつは、俺の知り合いだ。
 手を出すな」

 そりゃあ、同じ会社だし、知り合いでしょうね……という顔をみんなしていたが。

 さすが彼女らは駿佑には逆らわなかった。

「わ、わかりました。
 すみませんでした」

 そうみんなが謝ると、駿佑は、それ以上女の争いに口を挟むのも、と思ったのか、去って行った。

 それを見送っていた編み込みの彼女がぼそりと言う。

「やっぱ、捨てるわ、この弁当箱」

「えっ?
 なんでですかっ。

 今、わかったって言ったじゃないですかっ」