OL 万千湖さんのささやかなる野望

「いえ、こちらこそ、よろしくお願いいたします」
と駿佑は頭を下げる。

 ところで、この二人はなにをよろしくお願いし合っているんだろうな……。

 これからもうちの子と仲良くしてやってください、という幼稚園や小学校のママ的な挨拶か。

 それとも、よろしく一緒に家を建ててやってくださいなのか。

 黒岩はもちろん、二人で家を建てるのだから、いずれ結婚するのだろうと思っていたし。

 駿佑はそんな黒岩の思いを察していたが。

 万千湖はなにも察してはいなかった。

 駿佑が黒岩に言う。

「今日は白雪さんにお弁当を作ってもらったんですよ。
 でも、公園で食べるのはちょっと寒かったですね」

 実は駿佑は、万千湖に節約弁当を作ってきてもらうために、
「たまには公園で弁当とか食べるのもいいな」
と話を持ちかけていたのだ。

 公園で食べたいだけで。
 お前の弁当を早く食べてみたいとか言うわけじゃないぞ、という雰囲気を漂わせて。

「あっ、そうですね~」
と軽く返事をした万千湖は、暖かい部屋の中でメッセージを打ち返していたので、すでにかなり冷え込む季節だということは頭になかった。