OL 万千湖さんのささやかなる野望

 実は黒岩の頭の中では昨日思い出していたトーテムポールなどがよぎっていたので、褒めどころがなかったのだが、そんなことは万千湖にはわからない。

「万千湖は……

 万千湖には……

 万千湖にも、なにかいいところがあります。

 よろしくお願いいたします」

 黒岩は深々と頭を下げてくれた。

 万千湖は、うるっと来ながらも、

 そのなにかいいところ、ひとつくらい思いついてください……と思っていた。

 まあ、こうして、とっさに思いつくところもないのに、こんなに親身になってくれているわけだから。

 こんなにありがたいこともないのだが……。