OL 万千湖さんのささやかなる野望

 


 万千湖たちの前に、いきなり現れ、駿佑を詐欺師呼ばわりした黒岩は、まだ驚いたように駿佑を見ながら言ってきた。

「すみません。
 ちょっと驚いてしまって。

 マチカ……万千湖が、見合いをした相手と家を買うとか言うから、お前、それは詐欺だろと言ってたんですが。

 今、あなたを見て、これは必ず詐欺だ、と思ってしまって」

 黒岩さん……。
 すみません、と言ったわりには、なにも訂正してません。

 むしろ、断定してます……。

 黒岩は、見るからにエリートでイケメンな駿佑を見て、こんな男が万千湖といるのはおかしいっ、と思ったようだった。

 そこで、黒岩はカメラを探すように辺りを見回しはじめる。

 ……ドッキリでもありません。
 私はすでに一般人です。

 カメラもない。
 ドッキリでもないようだ、と判断したらしい黒岩は駿佑に向き直り言った。

「小鳥遊さん、万千湖は……」

 そこで黒岩は黙る。

 駿佑に万千湖を勧めるために、なにか褒めようとしたが、思いつかなかったようだ。