黒岩は、万千湖がこの間出会った会社の先輩とやらとトイレに行くのを眺めていた。
あんなに職場の人とも仲良くなって。
立派にOLをやっているようだな、マチカ。
と駿佑や瑠美たちが聞いたら、う~ん、と小首を傾げそうなことを思いながら。
黒岩にとって、苦労を共にしてきた『太陽と海』のメンバーは妹のようなものだった。
解散してしまったのは残念だが、みんなの明るい未来を離れた場所から見守りたい。
そう願っていた。
まあ、なんだかんだでみんな普通の生活に飽きて、芸能界に戻ってきつつあるのだが。
……だが、こいつは飽きなさそうだな、と黒岩はトイレから出て来た万千湖を見る。
万千湖は自分に向かって、ぺこぺこし、さっきの女性もこちらを見ながら、満面の笑みで頭を下げてくる。



