OL 万千湖さんのささやかなる野望

「……なんかすごい人って誰なんですか?」

「わかんないけど。
 何処かでなにかに自慢できそうな誰かよ」

 なんですか、そのふわっとした話、と思ったとき、黒岩が柱の陰からこちらを見ているのに気がついた。

 万千湖は、
「もうバレました。
 大丈夫そうです」
と目で呼びかける。

「そうか、わかった」
と黒岩は視線で返してきた。

 柱の陰から出て、瑠美に頭を下げ、行ってしまう。

「やだーっ。
 ほんと格好いい、黒岩さんっ。

 あ~、でも、芸能関係の人なのか。
 近寄り難いわよね~」
と瑠美が騒ぐその横で、万千湖は第一駐車場を見ていた。

「あの~、瑠美さん。
 今、レジを出て、駐車場に歩いてった人、俳優みたいなすごいイケメンだったんですけど。

 もしかして、あの人ってことはないですよね? 瑠美さんが探してるイケメン」

 ええっ? と瑠美は振り返る。