OL 万千湖さんのささやかなる野望

 そこで、瑠美は、はっ、としたように言う。

「待ってっ。
 あんた、アイドルだったんなら、もう出世したあとじゃんっ」

 出世払いするんでしょ、おごりなさいよっ、と言い出す。

「あの~、おごるのはいいんですけど。
 そんな稼いでたわけではないですよ。

 我々は商店街のマスコットキャラ的なものでしたし」

「なんだ、着ぐるみ入ってたの?」

「いや、着ぐるみじゃないんですけど……」

「そうよね。
 あんた、着ぐるみ入ってたら、あっ、とかってつまづいて、着ぐるみの頭、ふっとばしそうだもんね」

 それ、子どもたちが阿鼻叫喚の騒ぎになりますよ……。

「でもそうかー。
 あんた、アイドルなのかー。

 なんかすごい人のサインとかないの?」

 もらって来てよ、黙っててあげるから、と言われる。