OL 万千湖さんのささやかなる野望

 


 日曜日、万千湖は大型書店で瑠美たちと待ち合わせていた。

「ちょっと買いたいものがあるから店に入るわ」
と言うので、眺めていた雑誌コーナーから入り口に移動する。

 だが、瑠美が入ってくる気配はなかった。

「おかしいな~。
 瑠美さん、何処だろ」
と呟いたとき、目の前にセミロングの髪の女性が立った。

 マジマジと顔を見る。

「瑠美さんじゃないですかっ」

「毎日顔突き合わせてるのに、なんでわかんないのよっ」

「いえ、髪をまとめてらっしゃらなかったので」

「……あんたの人間の識別、髪型?」

 大丈夫? 職場の人の顔わかってる?
と訊かれてしまう。

「ああ、フロア全体では、女性の方、すごくたくさんいらっしゃるのでまだ全員は……」

「うちのフロア、女性はそんなにたくさんいないわよ!?」

 それは、毎度髪型が変わってる人か、霊よっ、と言われてしまう。