OL 万千湖さんのささやかなる野望

「に、日記読みますか?」

「なんだって?」

 雑誌でも読みます? というように、日記を読むかという万千湖に駿佑が問い返してくる。

「あ、すみません。
 興味ないですよね、私の日記なんて」

「いや……あるとかないとか以前に、日記って、家を訪ねた客に、ちょっと読みますか? とかいうようなものだったか?」

「あー、でも、私の日記って。
 なんかすごいことが書いてある秘密の日記とかではなくて。

 メモ帳代わりというか。
 日々あったことを書いているだけっていうか。

 でも、毎日書きたいことがたくさんあるのに、一日一ページしかないんで。
 取捨選択して、印象に残ったことだけを書くようにしてるんですけどね」

 万千湖はそう言いながら、もう日記帳をとって来ていた。

「あとで読み返しても楽しいように、いろいろ工夫もしてるんですよ。
 写真貼ったり、マスキングテープで飾ったり、イラスト描いたり」

「……見せたいんだな、要するに」
と言われ、万千湖は笑う。

 渾身の日記。
 人にとっては興味のないものかもしれないが、ちょっと見て欲しい、と思っていた。