OL 万千湖さんのささやかなる野望

「わかりました。
 目が黒いです」

 カラコンを外していたようだ。

 そういえば、髪は茶色のままだが、目は黒い。

 玄関の暖色系の灯りに照らし出された、つるんとした黒い瞳は、今、車で待っているシラユキのようで愛らしく、

「ちょっと入れてきますね~」
と洗面所に行こうとする万千湖をつい止めていた。

「そのままじゃ駄目なのか?」

 え? と振り返った万千湖に、
「その……近所なのに、わざわざコンタクト入れるの面倒くさいだろう。
 メガネとかで変装したんじゃ駄目なのか」
と訊いてみた。

「いや、それが課長。
 私、メガネっ子キャラだったんで」

 変装どころか、かけたら元に戻ってしまいます、と万千湖は言う。

 そういえば、そうだったな。
 ややこしい奴だ……。