OL 万千湖さんのささやかなる野望




「ほう、これがまつぼっくりの家か」

「いえ、たまに落ちている、というだけで」

 どんなファンタジーな家かと思われるではないですか、と小さな小さな七福神が鎮座ましましている玄関で万千湖が言う。

 駿佑は万千湖の顔を見ながら、
「ところでお前、今日なにか違わないか?」
と訊いてみた。

 自分が微妙に緊張しているせいで違って見えるのだろうか。

 いや、明らかになにかが違う。

 何故かじっと見つめることができないのでよくわからないのだが。

「……なんですかね?」
と呟いた万千湖だったが、特に気にしていないようで、

「お弁当屋さん、すぐそこなんで、このままでいいですかね~」
とパーカーにゆるっとしたパンツという出立(いでた)ちで言う。

「いいんじゃないか?」

 ちょっと新鮮な感じのするその格好のせいで、違って見えたのだろうか、と思ったとき、

「じゃ、ちょっと戸締りしてくるんでお待ちください」
と言って、万千湖は奥に入っていった。

 だが、
「あ」
と声が聞こえ、すぐに戻ってくる。