「そろそろ出る」
万千湖にそう連絡したあと、駿佑は経理を出た。
エレベーターに行く途中、倉庫の扉が空いているのに気づく。
チラと見ると、雁夜が中でなにかを探していた。
「お疲れ。
手伝おうか」
彼の足許に下ろされている幾つものダンボールを見ながら駿佑はそう訊いた。
雁夜はいつもの穏やかな笑顔で振り向くと、
「いやいや、大丈夫だよ」
と言いながら、首からさげている細長いスポーツタオルのようなもので額の汗を拭いた。
「そうか?」
「たぶん、この箱だと思うから。
お疲れさま、また明日」
と雁夜は微笑む。
相変わらず、爽やかでいい奴だ、雁夜。
俺とは正反対だ、と思いながら、駿佑はひとりエレベーターに乗り込んだ。
だが、何故か何度も頭にタオルで額をぬぐいながら微笑んでいた雁夜の顔が浮かぶ。
なんでだ。
あいつの笑顔が何度も浮かぶとか、女子か、と思ったのだが。
そのシーンになにか気になることがあるのに気がついた。



