OL 万千湖さんのささやかなる野望

「いや~、我々が輝けるのは舞台の上だけですよ」

 あとはショボいもんです、と万千湖は言った。

 まあ、舞台の上で私が輝けていたかは謎なのだが。

 でも、みんなは確かに輝いていた、とサヤカ、サチカ、ユカ、トモカ、それぞれの顔を思い出しながら、万千湖はしみじみそう思う。

「所詮は商店街のアイドル。
 舞台裏は、ショボくてわびしい感じだったかもしれないけど」

 でも、楽しかったんですよね、と万千湖は語る。

「もったいないことに、部長の息子さんや回転寿司であった船田くんみたいに、私なんかを応援してくれる方もいらっしゃいましたし。

 だから、その期待に応えなければと……。

 苦労もたくさんしたけど。
 大変だったことほど、今思い返せば、懐かしいです」

 逆境に(おちい)れば陥るほど、そのありえないピンチがおかしくて。

 ずっと馬鹿みたいにみんなで笑ってた気がする。

「商店街の企画ではじまり。
 なんとなくメンバーが集まって、何年か続いたけど。

 ……短い期間で夢のように終わるものだとわかっていたからこそ、あんなも楽しかったのかもしれません」

 万千湖は過去を思い出し、そう微笑んだ。

 ちょうどエレベーターが着く。

「で?」
と駿佑がこちらを見た。

「は?」