OL 万千湖さんのささやかなる野望

「アイドルって激務そうだから、結構稼いでるのかと思ってたぞ」

「はあ、確かに、途中からは吐くほど働いてましたね」

 もうボロボロになるほど、と万千湖は言う。

「いろんなイベントに招待されたりして、全国で働いてました。
 最初はお金がなかったので、みんなで交代で車を運転したりしながら」

 途中、サービスエリアの屋台で買った豚の串焼き。

 みんなで寒い中食べて美味しかったな~と万千湖は、二度と戻らぬ、みんなとの日々を思い出し、しんみりする。

「みんなで豚串買ったんですよ。
 でも、車でそんな強烈な匂いのもの食べたら、衣装に匂いが移るだろってプロデューサー兼マネージャーに怒られて。

 俺たちは夢を売る商売なんだからと言われて、車内で食べられず。

 雪の降る中、駐車場にある大きなダストボックスの横で。
 震えながら、みんなで輪になって食べました」

「お前たちはアイドルだったんだよな?」
と駿佑が確認してくる。

「なにかこう、わびしい感じしか伝わってこないんだが……」