OL 万千湖さんのささやかなる野望

 だが、つい、不安になって訊いてしまう。

「大丈夫か?
 お前、ちゃんと人気はあったのか?」

「マチカちゃんが一番人気だったよ。
 面白いから」

 そう雁夜は言った。

 ……面白いからか。

 アイドルとはなんだったろうかな……とまたまた思いながら、駿佑は万千湖を見つめる。

「イベントでのトークとか。
 ラジオでのトークとか、いつもマチカちゃんが一番印象的だったよ」

 歌ではないのか……と思ったそのとき、駿佑はふと思い出し、万千湖に言った。

「そういえば、お前の歌、聴いたことがあるな」

「えっ?
 あ、ああ、この間のラジオですか?」

 いや、違う、と言うと、
「えっ? 何処でですかっ?」
と万千湖は、歌に自信があるのかないのか、動揺する。

 だが、教えてやらなかった。

 今まで雁夜とふたりで秘密を共有してやがったのかと思い、イラッと来ていたからだ。

 まあ、よく考えたら、共有していたのは、部長と三人で、だったのだが……。