OL 万千湖さんのささやかなる野望

 万千湖は雁夜の方を一度見たあとで、こちらに向き直り、覚悟を決めたように口を開いた。

「実は私……

 ご当地アイドルだったんです」

 アイドルとはなんだったんだろうかな。

 目の前のマヌケな万千湖とその言葉が結びつかず、またそう思う。

 そこで、万千湖と視線を合わせた雁夜が頷き言ってきた。

「そう、白雪さんは、アイドルだったんだよ」

 いや、お前は白雪のなんなんだ。

 まるで、保護者かマネージャーのような雰囲気で同席しているが、と思ったとき、雁夜が言った。

「実は、僕の友だちが、ユカちゃんの追っかけで」

 いや、マチカの追っかけですらないのか。

 っていうか、そもそもそれ、友だちの話だろ? と思ったが、その友人に引きずられて、時折、ライブなど見に行っていたらしい。