三時くらいになり、ちょっと休憩に自動販売機のとこまで歩いて、なにか飲もうかな、と万千湖が思ったとき、人事の部長が入り口から手招きしていた。
「いや、実は今日、息子たち、式の準備のために休みをとってるんだけど。
今、下に来てるんだ」
少し抜けられるかね? と言われる。
「うちの息子、なかなか彼女に告白できなかったみたいなんだけど。
君との見合いがきっかけとなって、結婚できることになったんで、二人でお礼を言いたいそうなんだ。
自分の代わりに見合いしてくれた小鳥遊くんにも」
そう言われ、駿佑とともにエレベーターでロビーに下りた。
ころんとした印象の部長とは全然違う、すらりとした、感じのいい青年と人の良さそうなロングヘアの可愛らしい女性がソファから立ち上がり、こちらに向かい、頭を下げてくる。
いっしょに頭を下げながら、ぼそりと駿佑が言ってきた。
「なかなか良さそうな人じゃないか。
あっちと見合いできればよったのにな」
「なんでですか。
課長のおかげで、日々楽しいです」
楽しいですってなんだ? という顔で駿佑はこちらを見た。
いや、ほんとうだ。
課長といるようになってから、ある意味、アイドルをやっていたときより、刺激のある毎日だ、と万千湖は思う。
「すみません。
ほんとうにお世話に……」
感じの良い部長の息子さんは笑顔で挨拶しようとしたが、万千湖の顔を見て止まる。
「マ……」
あれっ?
なんかヤバい感じ、と思ったとき、息子さんが叫んでいた。



