OL 万千湖さんのささやかなる野望

「ありがとうございました、黒岩さん」

「マチカ……。
 いや、もう万千湖だったな。

 お前たちのおかげで俺も成長できた気がする。
 我慢と忍耐という言葉を覚えたよ」

 重ね重ね、どうもすみません、と思ったとき、バン、とロッカールームの扉が開いた。

「万千湖っ。
 まだここにいたのっ?

 いよいよ、第一日曜よっ。
 来なさいよ、イケメン探しにっ」

 あんたのなんだかわからないけど、ラッキーそうなところを私のために使うのよっ、と瑠美が言う。

「いやあのー、私、宝くじ外れたみたいなんで……」

 あんまりラッキーじゃないかもです、と言ったが、

「そうなのっ?
 じゃあ、運がまだ、あまってるじゃないっ。
 それを私のために使いなさいよっ」
と言ってくる。

 ……あなたの運は何処へ行ったのですか、と思っている間にいなくなった。

「楽しそうな職場だな……」
と黒岩が言う。

 ……はい、と言ったあと、もう一度礼を言って、万千湖は電話を切った。