軽く化粧直しをした万千湖は瑠美たちに遅れてロッカールームを出た。
鼻歌を歌いながら、廊下を歩いていると、スマホが鳴る。
誰だろう。
お母さんかな。
でも、いきなり、土地が広がったから大丈夫よ、なんてないだろうしな。
万千湖の頭の中で、地殻変動により、実家の土地が隆起したが、山のようになっただけだった。
ますます家、建てられなくなったな……と平地でなくなった我が家を思い描きながら、万千湖は相手も確認せずに、はい、と出る。
「お疲れ。
黒岩だが」
ひっ、黒岩さんっ。
噂をすれば影とはこのことか。
いや、頭の中で思い出しただけなんだが。
かけてきたのは、「太陽と海」のプロデューサーをやっていた黒岩だった。



