OL 万千湖さんのささやかなる野望

 なにも買わずには終われそうになかったが。

 買ってもらうのも申し訳ないので、とりあえず、七福神の置物をひとつ入れてみた。

 だが、駿佑は、
「他にもなにか買え」
と言う。

「他に欲しいものですか。
 うーん」
と唸った万千湖は、

「あ、あれ、欲しいですね」
と手を叩いた。

「ハンドパワー!」
「……売ってないと思うが」

 こういう奴ですよ、と万千湖は手を機械的に動かし、カゴの中の七福神を持ち上げて見せる。

「……UFOキャッチャー?」

 違います、と万千湖は、また似たような動きをしてみせた。

「クレーン?」

「……マジックハンドでは?」

 横を通っていた大学生っぽい男の子が、ついうっかり、という感じでボソリ、と答えた。

 万千湖は、
「あっ、そうっ。
 それですっ」
と喜び、つい、彼の手を握って握手する。

 彼は赤くなり、駿佑が万千湖を引き離した。

 しまった。
 つい癖で、と万千湖は苦笑いする。