OL 万千湖さんのささやかなる野望

「ああ、どうせ当たるわけないし、なんとなくな。
 当たったら、お前の実家がもらったらどうだ」

「……でも、1800万でお譲りします、なんですよね。
 まあ、あの大きさの家にしては安いですけど。

 お求めやすい価格でって、お求めやすくない感じですが」

「お求めやすいであって、安いじゃないからな」
と言う駿佑を見上げて訊いてみた。

「でも、アンケート用紙、なんで一枚しかくれなかったんでしょうね?
 二人いたのに。

 二枚だと当選確率、二倍になったのに」

 駿佑は口を開いて、なにか言いかけてやめた。

 ……グループに一枚なのかな、アンケート、と万千湖は思う。

 その心の声が駿佑に聞こえていたら、
「ボウリング場とかじゃなくて、住宅展示場だぞ。
 グループじゃなくて、一家族に一枚だろうがっ」
と突っ込まれていたことだろうが。