OL 万千湖さんのささやかなる野望

「あ、ハーブの本です。
 古い本の方がありがたい感じがして、いいなあと思って。

 中世の魔女とかが使ってそうな感じがするじゃないですか」

「外国の本なのか?」

 あんな分厚い異国の本が読めるのかとちょっと感心して訊いたが。

「いえ、日本語で書かれた日本の本なんですけどね」

 まあ、雰囲気ですよ、と万千湖は言う。

「いろんなハーブの効能について書いてあって。
 ハーブで安眠する方法とかいうの見てたんですけど。

 字が小さすぎて、数行読んだだけで寝ちゃいました」

「……効果抜群じゃないか」
と言ってやったが、万千湖は、ははは、と笑っていた。