シンガポールから出られない!

現実はやっぱりこうだよね。心が恐怖でいっぱいになってしまう。そんな私をリシさんは困ったような顔で見つめた。

「ああ、ごめんなさい。わざと怖がらせたわけじゃないんです。海賊はもちろん警察の取り締まり対象になっていて、警察も動いています。ですが、やはり危険なものは危険ですので」

「は、はい!絶対に夜は外出しません!」

シンガポールに行って犯罪に巻き込まれました、なんて最悪な思い出なんて作りたくない。海賊に会うなんて絶対に嫌だし、リシさんの言うことを聞こう。

だけど数時間後、私はこの約束を破ることになってしまう。



豪華な夕ご飯をご馳走になった後、広々としたバスルームに案内されてお風呂に入り、パジャマには着替えてもう寝ることにした。

「リシさん、おやすみなさい」

「梨花さん、おやすみなさい。明日もシンガポールをたくさん案内しますね」

「楽しみにしてます!」

リシさんに挨拶をした後、私はゲストルームに入って大きなベッドに倒れ込むようにして横になる。そして、その布団の柔らかさに驚いたのだ。